ギターを始めたのが中二だったが、その前の中一からブラスバンド部にはまっていた。クラブ見学の時に無理矢理、教室に連れ込まれて、
「とりあえず触ってみなよ!」と先輩達に言われてバリトンという楽器を渡された。マウスピースの吹き方を習うと、割とすぐに音が出て、ピストンの指使いを習うと、ドレミが吹けた。次にピカピカのアルトサックスを渡され、しばらく触っているうちに、これも音階がなんとなく吹ける様になったのだった。
なんだか楽しくなった僕は、先輩達の策略に引っかかり、ブラスバンド部は一名の部員を確保したのだ。
次の日放課後、期待と不安とともに音楽室に入った僕は、愕然とするのだった。
当然のように、あのピカピカで貝細工なんかが入ったサックスが吹けるものだと思っていたのに、「君はわりと出来そうだからコレを頼む。」と手渡されたのが、トロンボーン、、、。
なんじゃこれ!管を二回ほど曲げただけやん???
所定の位置に座ったぼくはまた愕然となった。おなじ楽器の人が、ひとりもいない!なぜ?どうして?よく周りを見渡すと、なんか全体に人数が少ない。
そう、このブラスバンドは新入生が入るまで、十数人しかいなくて、バンドの存続も怪しまれる弱小バンドだったのだ。当然、前の年にトロンボーン吹きはいない。
それにしても他の新入生たちは、優しそうな先輩に教わっているのに、僕の先生は教則本。 しかも楽器は錆び錆びの、つぶしたSの字のようなトロンボーン。
でも、男の子だもん。やるっきゃない!!!
教則本を開き、練習をはじめるのだった。
トロンボーンをかじったことがある、ユーホニュームの先輩が教えてくれたりして、だんだん楽しくなっていくのだったが。
個人練習の時期も終わって、全体練習になった時、あることに気がついた。
トロンボーンはひとりじゃパートにならない。和音になってこそ活きる楽器なのだ。
先生が考えてくれて、ほかの学校のもっと弱小バンドから呼んでくれた人が三年生のトロンボーン、これで悩み解決、楽しい日々がつづいた。
冬になって雪に埋もれた校舎の二階、窓を開けて雪景色を眺めながら、気持ちよく練習していた。
トロンボーンというのはスライドを伸び縮みさせて音程を変えるのだが、腕の短いぼくには遠いポジションはかなりたいへんで、スライドをぱーっと伸ばした時、スライドは右手からはなれ、美しい彷彿線を描いて雪の世界に消えていった。
この景色は一生忘れないだろう。
二年生になると、新入部員の勧誘をがんばり二人の後輩を迎えて、めでたく三人のパートになったのだ。
そして二学期になると、運命のギターも始めて二足のわらじを履くことになった。
朝は6時ぐらいからブラバンの朝練、放課後もブラバン、家に帰るのは10時位、それからギターの練習、夜中は親達につきあってマージャン。
みたいな充実した日々だったなあ~!