No.12 「受験?」
高校の卒業も見えてきたある日僕はバンドのメンバーに「みんなで一緒にプロになろう!」
と持ちかけたが「正樹、お前はプロになれ!俺たちは趣味でやるから」と一同に言われた。
考えてみれば、そりゃそうだ。何も見えない暗闇に飛び込んでいくようなものだよな。
でも僕にはその道しか考えられなかった。しかしどうしたらいいのか判らず、とりあえず本屋に行って楽典の本を買い、にわかに音楽理論を勉強しなくてはと授業の時間も読みふけっていた。
そんな時、自分と同じように楽典を読みあさってる仲間を見つけた。D野だった。彼は表立ってバンドとかやってないが、ギターリストを目指す同士なのだ。彼は東京で働きながら音楽専門学校にかようらしい。しかし僕は何も決められずで、あせっていた。
そのような状態だと女の子と付き合っていることも罪悪のように感じ出し冷たく彼女と別れた。そんなモヤモヤした中で、ある音楽雑誌に1つの広告を見つけた「ポピュラーの音楽学校!プロへの道!ヤマハ合歓音楽院!生徒募集!」こ、こっ、これだ!これだ!
さっそく担任に頼んで入学試験の願書を取り寄せたが、試験が一次二次三次とあり、どれを受けていいのか解らず二次を受けることにした。あとで判ったのだが一次に落ちた人が二次を受けてもよかったのだったが、僕の田舎にはヤマハの支店がなくて、知るすべもなかったのだった。
そんなわけで二次試験を東京の恵比寿に受けに行ったのだが、早々と願書を出してた僕はギター課受験者の中で受験番号は一番だったのだ。だから当然一科目目の自由演奏が始まったとき、真っ先に僕の名前が呼ばれた。
教室に入ると見るからにプロミュージシャンという感じのバンドがいて試験管に「じゃ始めて下さい」といわれた。僕とっては自由演奏のジユウという言葉しか頭に浮かばず「ではヤリマス!Gのブルース、テンポこれくらい」とバンドとともにアドリブソロを弾き始め、盛り上がり、ピアノの人にソロをまわしたりしちゃったりしてると、「はいもう結構です」と止められ「他にできますか?」といわれて、「16ビートでDドリアン」とかいって前の調子で始めたら、また途中で止められ終わり。楽器をかたずけていると次の受験者が入ってきて、おもむろに各メンバーに譜面を配りだした。えっ!そうなの?そうだったの?こりゃアカン!がっくりきた〜。他の科目もはじめての問題ばかりでまったくだめで肩を落として帰った。
田舎に帰り、どうしたものかな〜などと考えていたある日、なんと!合格通知がとどいた。
あとで判ったのだが、あの自由演奏が最高にうけたらしい。ヤッター
他の同級生達はこらから受験なのに、僕だけ真っ先に進路が決まっちゃったのだった。
それまで松原と付き合うな!と言っていた先生も「彼のようにやりたいことをちゃんと見つけた人が楽になるんだ」などと手のひらを返したように誉められて、なんか複雑な気持ちになりながらもやはり、希望に胸を膨らせていた時間であった。

