大工のバイトに行き始めたけれど内容は本当にお粗末な物だった。最初のうちは木材を運んだり支えていたりの簡単なものだったが、そのうち目立たない押し入れの中の壁の釘打ちとかさせてもらったのだ。が、まずはまっすぐに釘が打てない、打ち付けたはずのベニヤ板はゆび一本ではずれる、裏側から打った釘は表にはみだすなどとても仕事にはならなかった。それでも棟梁は僕がよけいな仕事を増やしたのにもかまわず、やさしくバイトを続けさせてくれた。あの時建てた県営住宅は今でも残っているのかなぁ〜?押し入れは壊れなかったかなぁ〜?

ひと夏のバイトが終わりお金もなんとか貯まり、ついにギターアンプを手に入れる時がきた。
何を買うかさんざん迷った結果その頃最新式のエーストーンの2段積トラジスタアンプを買った。他のメンバーもバイトの成果でアンプを手に入れた。K川はお金がそんなに貯まらなかったので中古のアンプ、でも二段積。Y内は僕と同じタイプのエーストーンのベースアンプだったと思う。
僕の部屋に3台の二段積アンプが並び、S木が質屋で買ったドラムセットも一緒にセットされたのだ。僕たちはしばし無言で見つめていた。電源を入れると青や赤の光が浮かび上がる、部屋の明かりを消すとそこは夢のイリュージョンの世界、僕たちは歓喜の声を出した!!
音を出したらまた感動!でかい音!ステレオに3本つないだのとは比べ物にならない本物のエレキの音が〜流れ〜た! しかし一つのことを発見した。K川のアンプのほうが僕のよりなんかいい音?彼のは真空管だった。知らなかった!真空管のほうがいい音するなんて!
でも俺のアンプのほうが高いんだ、ということで納得することにした。

ふたたびマイルームでの練習が始まり盛り上がった。盛り上がったらすぐに苦情がきた。畳やふとんで即席の防音をしてみたが、ついには警察が来た。親の堪忍袋も切れた。
ここから僕たちは練習場所をもとめ放浪の生活がはじまったのだ。