Archive for 5 月, 2007

No.10 「ワラにまみれて」


 練習場所に困っていた僕たちは、なんとか学校でできないか?と考え一つのアイディアを思いついた。 同好会という形をとることだったが、顧問の先生が必要なのだ。 当時の高校の先生達はわりと年配の人が多かったので体育の若い先生を口説き落とし、空いている教室を放課後に使用させてもらうところまで漕ぎ着けて、ようやく初日になり、楽器をリヤカーで運び込み、セットし、電源をつなぎ、演奏が始まった。やっぱりみんなで大きな音で合奏するのは楽しい!これでバンドの練習いっぱいできる!、、、、、はずだった。 顧問の先生が職員室から飛んできて「ヤメロ ヤメロ!!」 僕たちの音楽は騒音となって職員室に響きわたり、一斉に苦情の嵐になったのだ。
同好会は初日でおわった。
また放浪の日々か?と落ち込んだ。 ところが広い田んぼの中の一軒家の農作業小屋を格安で借りることができた。 中は農作業機材やワラの山が置いてあったがバンドをやるには十分のスペースがあり、なによりどんなに大きい音を出しても大丈夫なのだ。ただ真夏の小屋の中は猛烈に暑い!のだが、これがまたバンドの盛り上がりに拍車をかけてくれる。 思う存分に毎日練習に明け暮れたのだった。
夏休みのある日、練習が終わったあとK川とふたりで自宅の近所を散歩していると向うから同級の女子が歩いてきた。 しばらく立ち話をして、僕の部屋で遊ぼうということになった。
三人はトランプを始めたのだが、夏の暑さのせいかいつのまにかゲームに負けた人が一枚ずつ服を脱いでいく遊びに変わっていた。 そのうち時間のかかるゲームがかったるくなり、カードを引いて自分が宣言した数に一番遠い人が脱ぐことになっていた。 僕たちは頭をつかい7とか8とか宣言するのだが彼女は極端な1とか13とか言うので、彼女がどんどん脱ぐはめになっていった。 下着姿になった彼女がついにもう一枚脱ぐことになったのだ。 すると「イヤーン」と言ってとつぜん僕に抱きついてきた。 K川はしらけて帰ってしまった。
しばらく頭の中が真っ白になっていたが、気がつくとふたりはほとんど裸で身を寄せ合っていた。 僕の頭の中には「初・体・験・」という文字が激しく行き来していた。 次の瞬間一階のほうからおふくろの声が聞こえた。ヤバイ、やばい。 ふたりはあっという間に服を着て何事もなかった様に間隔をとったのだった。やっぱり自宅はまずいなあ~。でもまてよ 俺には例の農作業小屋がある!ぜったいチャンス!逃すことはない。 再会を約束して彼女を送った。
数日後僕たちは誰もいない小屋の鍵を開け忍び込んだ。 服を全部脱ぎ捨て、さあこれからというまさに其の時、ドドドドという音が近づいてきた。 持ち主が農作業を終えて帰ってきたのだ。まさに絶体絶命!ふたりはとっさに素っ裸でワラの山の中に飛び込み息をひそめた。 耕耘機が小屋の中に戻ってきたらしい。 足音が近づいてさらに息をひそめた。 足音が止まった。
見つかったか? が、足音が遠のいてシャッターがしまる音。 タスカッタ。 ホットした。 しかしもう行為に戻ることはできない。
こうして僕の初体験は遠のいたのだった。
神聖な練習場所でみだらなことをやっちゃだめだめ!でした。


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